ホッキョクグマ保護強化案を却下 ワシントン条約締約国会議
(CNN) タイのバンコクで開催中のワシントン条約(CITES)締約国会議は7日、米国が提案したホッキョクグマの保護強化案を38対42(棄権46)で否決した。
現在、ホッキョクグマはワシントン条約の附属書II(現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、国際取引の規制しなければ絶滅のおそれのあるもの)に分類されている。米国はこれを附属書I(絶滅のおそれのある種で国際取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの)に区分変更し、毛皮などの国際取引を禁止するよう求めていたが、最もホッキョクグマの生息数の多いカナダのほか、ノルウェーやグリーンランドの反対に遭った。
「残念なことに、政治が科学に勝ってしまったようだ」と、米代表団のダン・アッシュ代表は声明で述べた。
地球温暖化によって生息地である北極圏の氷が縮小しているためにホッキョクグマの生息数が激減する恐れがあるというのが米国の主張だった。一方、2万~2万5000頭とされる野生のホッキョクグマのうち、1万6000頭が生息するカナダは、ホッキョクグマは附属書Iの基準には達していないと主張した。
また、ホッキョクグマの狩猟についても両国の意見は対立している。カナダは先住民が生計のために必要だとし、保護の観点から捕獲数も決められていると主張。一方、米国はホッキョクグマの毛皮の価格が急騰しており、取引量も増えていると指摘。ヘイズ米内務次官は、「今後もパートナーと連携して」取引規制の強化を目指すとしている。