グアテマラのリオス・モント元将軍に有罪判決 大量虐殺罪
(CNN) 中米グアテマラの裁判所は10日、同国の独裁者エフライン・リオス・モント元将軍(86)に対し、政権を握った82~83年にマヤ系民族のイシル族1700人以上を殺害したとされるジェノサイド(集団虐殺)の罪で禁錮80年の実刑判決を下した。国家元首が自国の司法制度で、ジェノサイドの罪で裁かれたのは今回が初めてだ。
裁判所長のバリオス判事は判決の理由について、軍が先住民を殺害、拷問、強姦したことがイシル族の数十人の目撃者によって証明されたが、当時、事実上の大統領だったリオス・モント被告は軍が残虐行為を行っていることを知りながら止めようとしなかったと述べた。
リオス・モント被告は9日、「私は、人々、民族性、宗教に対する攻撃について、承認も、署名も、提案も、命令もしていない」と述べ、責任は自分ではなく、各地を管理・支配していた司令官たちにあると主張していた。
裁判所はリオス・モント被告の自宅軟禁を解除し、直ちに刑務所に入るよう命じた。一方、リオス・モント被告とともに起訴されていた諜報機関トップのマウリシオ・ロドリゲス・サンチェス被告には無罪判決が下された。
グアテマラ人の政治アナリスト、マーティン・ロドリゲス氏は今回の判決について「グアテマラにとって歴史的な出来事だ」とし、「グアテマラの国民の多くは、この国の司法制度がこれほど重大な裁判を扱えるとは思っていなかったので驚いている」と語った。
この刑事裁判をきっかけに、今後、グアテマラで36年間続いた内戦の最中に軍当局者が行った残虐行為が罪に問われる可能性もある。内戦は1996年まで続き、20万人以上の死者と100万人の難民を出した。