脱税で有罪の伊元首相、収監に代え社会奉仕活動を要請

ローマ（ＣＮＮ） イタリア・ミラノの検察当局は１１日、脱税事件で禁錮４年の実刑判決が確定したベルルスコーニ元首相（７７）が収監に代え、社会奉仕活動への従事を求めたと発表した。

元首相の弁護士が同日申請したもので、裁判所が今後数日間で諾否を決める予定。社会奉仕活動の種類、開始時期、ローマやミラノなど活動の実施場所は明らかにされていない。

地元メディアは最近、元首相はローマの自宅近くにある教会もしくは難民支援センターで奉仕活動を求める可能性があると報じていた。

ベルルスコーニ氏は今年８月、脱税事件で実刑判決を受けたが、刑務所の混雑緩和を理由とした恩赦で１年に減刑されていた。ただ、高齢を理由に実際の服役は免れ、自宅軟禁か社会奉仕活動の選択を迫られていた。

同氏は１９９４年から２０１１年までの間に数度にわたり首相に就任。メディア界に君臨する大富豪としても知られ、イタリア政界では過去数十年、時の権力を左右する中心人物だった。

ただ、醜聞も多く今年６月には権力乱用と未成年者の買春の罪で禁錮刑も受けたが、控訴している。司法は政治的思惑で動いているとも非難していた。

同氏率いる中道右派・自由の国民は先月、中道左派「民主党」などとの連立政権からの離脱を発表。連立政権は崩壊の瀬戸際に直面したが、今月初旬の信任投票でベルルスコーニ氏が突然、「政権支持」を表明し、政権存続が決まっていた。

同氏の予想外の政権支持の宣言は、自由の国民内部で相次いだ造反を反映するものでベルルスコーニ氏の政治的求心力の失墜とも受け止められていた。