安倍首相談話「痛惜の念」示す 将来世代の謝罪継続に区切り
韓国では与党セヌリ党の金栄宇(キムヨンウ)首席報道官が、安倍首相の談話は「直接的な謝罪を含んでいない」と指摘。「安倍首相が慰安婦について間接的な表現で言及したのは遺憾だ」「我々は安倍首相の曖昧(あいまい)な言葉の真意を探るのではなく、心からの反省と平和のための行動を見せるよう引き続き日本に求めていく」と述べた。
安倍首相は14日の談話で、慰安婦問題を示唆して「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たち」がいたことを忘れてはならないとしたほか、「女性の人権が傷つけられることのない」世紀を作るために日本が働きかけていくと述べた。
日本は1995年、アジア女性基金の設立を促進。基金は政府の助成金を受け、元慰安婦の女性を支援している。ただ、日本政府が被害者への直接の補償に難色を示してきたことから、活動家や元慰安婦の女性らは、日本の指導者が過去の行いを公式に認めるのを避けているとしている。元慰安婦で今も存命の女性は数十人のみだ。
韓国の金首席報道官は、安倍首相が反省に言及し、「日本がいかに無実の人々に苦痛と痛みを与えた」かについて述べたことを評価。「安倍首相の複雑で悲しい心境が感じられた」と述べた。韓国外務省はCNNの取材に対し、談話を検証中だと回答している。
一方、北朝鮮外務省は国営の朝鮮中央通信(KCNA)を通じてより厳しい反応を見せ、「日本は謝罪をせずに未来と国際社会での貢献について語っている」と指摘。「朝鮮民族への許しがたいあざけりであり、国際社会を欺く行為だ」と述べた。
近隣諸国にとって問題を複雑にしているのは、日本が軍事的姿勢の変化をみせている点だ。日本は先の大戦後、平和主義を保持しており、人道的な役割においてのみ軍隊を派遣してきた。
安倍首相は14日の談話で日本を侵略戦争から引き離す姿勢を見せたが、一方で、自衛隊が同盟国の防衛への関与を含む海外でのより積極的な役割を担えるようにする法律の制定を進めている。中国と韓国は日本の過去の領土拡張論を引き合いに出し、この法案に懸念を表明してきた。
安倍首相は60歳。2006年、戦後生まれとして初の首相に1年間就任した。2期目は12年末に始まった。