「パレスチナ人がホロコースト進言」 イスラエル首相が主張
(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相が第2次世界大戦中にナチス・ドイツが行ったホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の真の発案者はパレスチナ人のイスラム教指導者だったと発言して物議を醸している。
ネタニヤフ首相は20日、第37回シオニスト会議で演説し、そのなかで、「ヒトラーは当時、ユダヤ人を絶滅させる気はなく、追放するつもりだった」と指摘。
ネタニヤフ首相は続けて、「そしてアミン・アル・フセイニ師はヒトラーの元に赴き、こう訴えた。『もし追放などすれば、ユダヤ人はみんなここ(パレスチナ)に来てしまう』。『では、ユダヤ人をどうすればいいのか?』と(ヒトラーは)尋ねた。(フセイニの)答えは『焼いてしまえ』だった」と語った。
この発言の記録はシオニスト会議のウェブサイトで公開されている。フセイニ師はエルサレムの大ムフティー(高位のイスラム聖職者)で、パレスチナ人の間ではよく知られた人物だ。
パレスチナ解放機構(PLO)のエラカート事務局長は強い言葉でネタニヤフ首相の発言を否定。「公正かつ永続的な和平が最も求められている時に、分断をさらに深めるものだ」と非難した。
イスラエルの野党シオニスト・ユニオンを率いるアイザック・ヘルツォーク氏は「歴史の危険な歪曲」だと批判した。
イスラエルとパレスチナの間では最近、衝突や襲撃事件が相次ぐなど緊張が高まっている。
ホロコーストとイスラム教徒の関係に詳しい米マンハッタン大学のメフナズ・アフリディ教授は、非常にタイミングの悪い発言だったと指摘。「こんな発言はもうたくさんだ。双方に怒りと恨みを燃え上がらせ、さらなる誤解を生む原因になる」と述べた。