ファルージャ攻防戦、市内の子ども2万人動けず 国連
(CNN) イラク政府軍が過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」からの奪還を狙って始めた中部ファルージャ市への進攻作戦で国連当局は2日までに、子ども2万人を含む推定5万人の住民が市内で身動き出来ない状況にあるとの見方を示した。
同市中心部では数百の家族がISISの人間の盾になっているとの情報にも言及。ISISは戦闘を拒む男性や少年を処刑し、激しい砲撃で市民が殺害されているとも指摘した。
ファルージャを包囲するイラク軍は市中心部への本格的な進撃を近く始めるとみられる。ISISはこれに備え、偽装爆弾や簡易な爆発装置を市内に仕掛け、狙撃手を要所に配置しているとみられる。市内での戦闘激化で多大な人的被害などが出るのは不可避との見方もある。
イラク軍によると、先月下旬の同市への攻撃で女性や子どもが中心の数百人が市内から退避してきた。これら住民は食料、飲用可能な水や医薬品などが不足する市内の苦境を証言したという。CNNの軍事問題アナリストは、ファルージャ争奪戦は過酷なものになると予想。イラク政府は2日間内の市内制圧、ISIS戦闘員の一掃などを期待しているがより長期の日数を要すると分析した。
同市の境界線付近では既に戦闘が起きている。イラク軍幹部によると、先月31日には南端の地域で交戦し、ISISは車爆弾やロケット弾、狙撃などでイラク軍を撃退したという。政府軍に犠牲者が出たとしている。
ファルージャは首都バグダッドから近い距離に位置する戦略拠点で、ISISはバグダッドに攻撃を仕掛ける基地として使ってきた。ファルージャは北部モスルと共にISISがイラク内で握る最後の主要拠点となっている。