パリ同時テロから1年、癒えぬ悲しみと怒り 今も続く厳戒
ソーシャルメディアのキャンペーンでは、自宅の窓辺にろうそくをともして市内を照らし、「未来を輝かせよう」と呼びかけている。
テロがフランスに残した傷は今も癒えない。12人が死亡した昨年1月の風刺週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃事件以来、市内で警戒に当たる警官や兵士が増員され、主要観光地や学校、官公庁、宗教施設周辺は武装した警官らが巡回する。
それでも11月の同時テロは阻止できず、今年に入ってニースやルーアンでもテロが続発。国民の憎悪はイスラム教徒へと向かい、国家人権委員会(CNCDH)によれば、フランス国内で2015年にイスラム教徒が暴行されたり脅迫されたりした事件は前年比223%増の429件に上った。
相次ぐテロは観光業にも打撃を与えている。外国からの訪問者数はここ1年で前年より約200万人減り、今年に入って8.1%減少した。
「悲しみは決して終わらない。生涯にわたって痛みが続くだろう。それでも最初の頃のように、1日3回も泣き崩れることはなくなった」
そう語るサリンさんは、遺族や被害者を支える団体の会長としての活動に力を入れる。「記憶は持ち続けなければならない。だが恐怖に足を取られていてはいけない。生き続けなければならない」と力を込めた。