伊大統領、レンツィ首相の留任を要請 予算案承認まで
(CNN) 自身の進退を賭けた憲法改正案が国民投票で否決されたことを受け、イタリアのレンツィ首相は5日、辞任の意向を伝えるためマッタレッラ大統領と会談したものの、予算案が承認されるまでは首相職にとどまるよう要請を受けた。
レンツィ氏は4日に実施された国民投票で大敗を喫した後、辞意を表明。自身の憲法改正案が60%近くの有権者に否決されたことを受け、マッタレッラ大統領と会談する手配を整えていた。
国民投票の結果がイタリア国内や欧州に波紋を広げる中、通貨ユーロは対ドルで20カ月ぶりの安値をつけた。ユーロ圏で第3の経済大国であるイタリアが不安定化するとの見通しから、アジア市場の取引では一時、1ユーロ=1.05ドル付近まで下落した。
国民投票で明白な結果が出たことは、欧州懐疑派のポピュリズム(大衆迎合主義)政党や国粋主義政党にとっての勝利だとみられている。こうした政党はレンツィ氏や景気刺激策を講じるとの同氏の公約に対し、激しい反対活動を展開した。
反対派を主導したのはコメディアンのベッペ・グリッロ氏率いる新興政党「五つ星運動」で、総選挙が実施されれば躍進も予想される。
イタリアの今後の方向性は週が進むにつれ明らかになる見通し。同国のANSA通信によると、予算案は9日までに承認される可能性があるという。
ただ、レンツィ氏の辞任決断を受け、状況はさらに不透明になった。選挙管理内閣が指名され18年の選挙まで国政運営を担う場合のほか、可能性は低いが解散総選挙が実施されるというシナリオもある。