在韓米軍、沖縄へ家族脱出の避難訓練 北朝鮮の侵攻に備え
持ち出せる私物は1人当たり60ポンド(約27キロ)まで。避難訓練の参加者には居場所を把握するための腕輪が配られて保安検査が行われ、登録の過程では生物テロから最大で12時間身を守れる防護服の装着訓練も行われる。連れて行きたいペットを登録することもできる。
登録を済ませた一行は、ソウルから車で約1時間かけて南部平沢市のハンフリーズ基地へ移動。そこで待機していた軍用ヘリ2機に乗り換える。
ただし実際に非戦闘員を韓国から避難させる事態になれば、何万人もの民間人を5~7日かけて移動させる必要があり、「列車やバス、民間交通機関の方がはるかに効率的だ」と軍幹部は話す。
避難訓練には避難手順を体験してもらうだけでなく、軍が家族の安全を保証することで韓国に残って危機対応に当たる兵士たちを安心させる目的もあるという。実際に避難する事態になれば、日本から米国まで家族を送り届ける。
一行はヘリで大邱にあるウォーカー米軍基地に到着し、そこで夕食を済ませて軍の宿舎に宿泊。翌朝は5時に起床して車で山間部を通って韓国空軍の基地へ行き、米空軍の輸送機に乗り換えて最終目的地の沖縄へ向けて出発した。
無事沖縄に到着した子どもたちは、未知の世界への探検気分で興奮した様子だった。ニコールさんは、非常時の避難がどんな風に感じられるかを実際に体験できたと評価。万が一の時に所持品をすべて韓国に残してくることは苦にならないといい、「最も大事なのは娘たちを安全に避難させること」と強調する。ただ、「夫を残して来なければならないと考えると一番つらい」と打ち明けた。