詐欺電話に対抗するAIおばあちゃん、家族や編み物の長話で苦しめる

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開発された「AIおばあちゃん」/O2

開発された「AIおばあちゃん」/O2

ロンドン(CNN) デイジーは一見、どこにでもいそうなおばあちゃんに思える。編み物と家族の話をすることが大好きで、フラッフィーという名の猫がいて、ハイテクにはうといけれど、おしゃべりする時間はたっぷりある。

だがそれは表向きだけ。実はかなりのハイテク通で、ずる賢さを隠し持っている。

デイジーは英携帯電話会社のO2が開発した対話型AI(人工知能)。詐欺電話に対抗して相手をだまし、本物の人と話していると思い込ませる。

今月デビューしたデイジーは、詐欺に関して有効利用も悪用もできるAIの力に脚光を浴びせている。

O2によると、デイジーの使命は「詐欺師と話をしてできるだけ長く相手の時間を浪費させ、本物の人に寄せ付けないようにする」ことにある。この戦術のおかげで40分も長話をさせられた詐欺師がたくさんいるという。

「詐欺グループは英国人を狙う専用のフルタイムコールセンターを運営している」としてヴァージンメディアO2は警戒を呼びかける。

デイジーは専用の大規模言語モデルを利用して、詐欺電話を相手にリアルタイムで自律的な会話ができる。電話に割り込むことはないものの、O2はデイジーに割り当てた複数の電話番号をネットで流通させている。

英広告会社のVCCPと共同開発したデイジーの声は、従業員の祖母がモデル。「詐欺グループは高齢者を狙うことが多いので、詐欺グループの偏見を利用して、VCCPの従業員の実在する親族をもとにAIおばあちゃんを開発した」と同社は説明する。

「何時間も詐欺電話の相手をしながら、彼女は家族のことをとりとめもなく話し、大好きな編み物について長々と語り、でっち上げの銀行口座情報など偽りの個人情報を提供する」

デイジー開発のきっかけとなったのは、英国人が詐欺電話に引っかからないのは「自分の時間を無駄にしたくない」が筆頭理由という調査結果だった。

一方のデイジーにはいくらでも時間がある。

実際に、デイジーを披露した動画の中で、詐欺電話をかけてきた相手は「もう1時間近くになる!」と絶望的な様子で叫ぶ。

別の詐欺師が「人をうっとうしがらせるのがあなたの職業ですね」と話しかけると、デイジーは「ちょっとおしゃべりしようとしているだけよ」と応じていた。

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