トランプ政権、イスラム国の別名「ISIL」使わず
ワシントン(CNN) 米国防総省は27日までに、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国」の略称について、今後はより一般的な用語とされる「ISIS」を使用するよう指示したことを明らかにした。
オバマ前政権ではISISに言及する際、「イラクとレバントのイスラム国」の頭文字をとった「ISIL」の略称がしばしば使われ、公式文書や声明にも登場していた。ISISについてはアラビア語の組織名をアルファベットに置き換えて頭文字を並べた「ダーイシュ」という呼称もある。
国防総省の報道官は「ISIS、ISIL、ダーイシュの3つの呼称は米軍において、置き換え可能な同じ意味の用語として使われる」とした上で「米国民の間ではISISの呼び名が最もよく知られ、理解されていることから、政権ではこれを用いる」と説明した。
CNNは過去に、オバマ前政権がISILの呼称にこだわる理由について、ISISの想定する支配領域がイラクとシリアの範囲にとどまらないためだと報じていた。
複数のシリアの専門家は、前出の「レバント」に対応するアラビア語の地名がトルコやエジプトの一部を含む地中海の東側一帯を指すものだと指摘。シリアのほかパレスチナ自治区、ヨルダン、レバノンもこの地域に属するとの見解を示している。
北大西洋条約機構(NATO)の報道担当者によれば、NATOの公式文書ではISILもしくはダーイシュの呼称が用いられるものの、組織内では現在3つの呼称すべてを同じ意味で使用しているという。