米が国連人口基金への拠出打ち切り 「遺憾」の声相次ぐ
ワシントン(CNN) 米国のトランプ政権は3日深夜、世界の人口問題や女性の健康問題に取り組んでいる国連人口基金(UNFPA)への資金拠出を打ち切ると発表した。
「UNFPAは中国政府による人工妊娠中絶や避妊手術の強制に関与している」との理由で、3250万ドル(約36億円)の拠出を中止すると通告した。
トランプ大統領は今年1月、中絶や避妊手術の強制にかかわる組織などへの資金援助をやめるよう指示する大統領令に署名した。これを受けてティラーソン国務長官が、UNFPAは適用対象になると判断した。
だが国連当局者らは、UNFPAが中絶に関与している事実はないと反論。米国からの資金がなくなることで、人道危機に直面している世界各地の女性たちが深刻な打撃を受けるとの懸念を示した。
国連のグテーレス事務総長も報道官を通して「遺憾」の意を表明し、UNFPAについての「誤った認識」に基づく決定だと指摘した。
英国のライクロフト国連大使は記者団に、同国はUNFPAの支援を続けると述べた。スウェーデンのスコーグ国連大使も米国の拠出中止を深く懸念していると語り、UNFPAへの支援を改めて表明した。
UNFPAは1969年に米国の尽力などによって設立され、シリアやイラクなど紛争地帯で性暴力の被害に遭った女性を支援する事業にも取り組んでいる。
UNFPAの当局者らは、中国ではむしろ「一人っ子政策」の廃止を促し、中絶率の低下に貢献したと強調。米国が拠出打ち切りの方針を撤回することを願うと話している。