生き残った人たちによると、この日死亡した人は1500~1700人に上る。
一方、ミャンマーの事実上の指導者アウンサンスーチー氏の広報はトゥラトリ村の事件について、8月30日にラカイン州の住民や治安部隊が、数百人のテロリスト集団に襲撃される事件が相次いだと説明している。
ムムタズさんたちが身を寄せるバングラデシュの難民キャンプでは、食料や医薬品の確保が難しくなり、国連が大規模な人道危機と位置付ける事態が深刻化しつつある。
ムムタズさんによると、夫は川岸で撃たれ、3人いた息子のうち1人は火の中に投げ込まれ、残る2人は放火された家から脱出できずに死亡した。兄弟や父親も焼かれたり銃で撃たれたりして命を落としたという。
唯一生き残った娘のラジアさんの頭には、殴られた傷痕が残る。だがそれ以上に、心に追った傷はまだ生々しい。
「小さな娘が、何もかも目の当たりにした」「娘は火に包まれた弟を抱き上げようとしたけれど、できなかった」。母のムムタズさんはそうつぶやいた。