密造酒で死者80人超、規制強化が裏目に インドネシア
インドネシア・ジャカルタ(CNN) インドネシアで密造酒を飲んで死亡した人が今月に入って少なくとも86人に上り、警察が摘発を強化している。
警察によると、死者は西ジャワ州を中心に、首都ジャカルタや南カリマンタン州でも報告されている。西ジャワ州のバンドンでは、141人がアルコール中毒の症状で病院に入院した。
密造業者と密売業者は麻薬犯罪組織のような組織を形成しており、警察が捜索に入っても密造酒が既に持ち去られていて発見できないこともあるという。
警察は、5月中旬からイスラム教の聖なる断食月ラマダンが始まる前に関係者を摘発したい考えで、専従の捜査班を設置した。これまでに、密造酒による死亡にかかわった疑いで7人を逮捕している。
これまでの捜査によると、密売業者はアルコールに咳止め薬や蚊よけ剤を混入していたと思われる。地元紙は、押収された密造酒には栄養ドリンク、シロップ、炭酸飲料などの成分が含まれていたと伝えた。
インドネシアでは長年にわたり、密造酒が問題になってきた。公式統計によると、密造酒を飲んで死亡した人は2008~13年にかけて300人に上り、14~18年は500人に増えた。
同国では、アルコールの消費に対して地域ごとに100を超す規制がかけられている。未成年による飲酒を防ぐため、アルコール度数が5%に満たないビールなどもコンビニエンスストアで販売することは全土で禁止された。通商省はアルコール飲料に高い税金を科している。
しかしこうした措置が裏目に出て、特に地方では密造酒の消費が増え、特にバーやレストランへ行く余裕のない低所得層が密造酒を飲む傾向があるという。