米、シリア北西部への支援打ち切りへ 影響力低下の懸念も
(CNN) 米国のトランプ政権がシリア安定化に向けた支援を見直し、同国北西部での支援事業を打ち切るとの見通しが20日までに明らかになった。米国務省当局者がCNNに語った。
同当局者によると、米国では現在、トランプ大統領の指示を受け、シリア安定化に向けた2億ドル(約220億円)規模の支援の見直しが進められている。またこの金額とは別に、シリア北西部での支援事業の資金を同国北東部への支援拡大に回す計画があるという。
シリア北西部では米軍主導の有志連合が過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」を追放した後も、「ヌスラ戦線」などの国際テロ組織アルカイダ系勢力が拠点を維持している。その一方で、アサド政権が反体制派から奪還した地域の支配を固めようとしている。
トランプ氏はこれまで、米国がシリアで果たしている役割をアラブ諸国が引き継ぐべきだと主張してきた。先日もシリアからの米軍撤退を検討していると発言したばかりだ。
しかし米国が支援を打ち切れば、長期的にみてロシアやイランの存在感が増し、米国の影響力は低下することが予想される。対ISIS作戦で協力してきた現地の親米勢力からの信頼も失うことになるだろう。さらに、シリア北西部を拠点としたヌスラ戦線などのテロが活発化するとの懸念も指摘されている。