連続殺人の容疑者特定も逮捕できず、証拠不十分で　豪

（ＣＮＮ） オーストラリアの警察は３０日までに、３人を殺害したとみられる連続殺人の容疑者について、身元や居場所を特定しているにもかかわらず、逮捕できずにいることを明らかにした。裁判で有罪とするのに十分な証拠がそろっていないというのが理由で、報酬と引き換えに市民に情報提供を呼びかける異例の事態となっている。

地元の南オーストラリア州警察の幹部は２９日、記者団に対し、容疑者の３９歳の男について「どこにいるのか明確に把握している。本人にも自分が捜査の中心にいるとの自覚がある」と述べた。

当該の事件は１９９８年、２０１０年、１１年にそれぞれ１人の高齢者が自宅で殺害されたもの。いずれも盗みを働くために犯行に及んだとみられている。

容疑者は被害者全員と面識があり、それぞれの自宅から１０分以内のところに住んでいた。

州警察幹部は逮捕に踏み切らない理由として、裁判で有罪にできるだけの証拠を確保したいからと説明。「逮捕しても証拠が足りずに刑を免れてしまえば、市民をより大きな危険にさらすことになるだろう」との見方を示した。

そのうえで、捜査の過程で「明らかに情報を隠したり、うそをついたりしている人々がいる。容疑者を恐れているのかもしれない」と付け加えた。

女性２人が殺害された１９９８年と２０１０年の事件については、有罪判決につながる情報の提供者に２０万豪ドル（約１６００万円）の報酬が支払われる。１１年に男性１人が殺害された事件の関連情報についても個別の報酬が提供される。