イタリア橋崩落、国内「数千本」に同様の危険 専門家
ジェノバ(CNN) イタリア北部ジェノバの幹線道路で起きた橋の崩落を受け、国内の橋の点検を手掛ける専門家は16日、CNNの取材に対し、ほかに崩落の危険がある橋の数が「数百あるいは数千本」に及んでいると明らかにした。
14日に崩落したのはジェノバ西郊に位置するコンクリート製の橋。全長は1.1キロで、最高地点の高さは100メートルだった。これまで38人の死亡が確認されている。
消防当局の幹部によれば、事故当時崩落部分にいた乗用車の台数は明らかになっていない。2日にわたって捜索活動が行われているものの、現在何人が行方不明になっているのかも把握できていないのが実情だ。
行方不明者を探し出すには崩落したコンクリートを破壊し、除去する必要があるという。コンテ首相は15日夜、当面の捜索活動のために500万ユーロ(約6億3000万円)を支出する意向を表明した。
専門家からは今回の崩落を、全国の橋の保守事業にみられる極めて深刻な欠陥の表れとする見方が出ている。
イタリア国内にある5万本の橋の点検に携わる4EMMEサービスを率いるセッティモ・マルティネッロ氏は「1950~60年代に作られたコンクリート製の橋はすべて寿命を迎えている」としたうえで「数百本、あるいは数千本の橋に関して、今後崩落するリスクがある」と警告。正確な数はわからないとしつつ、国内に架かる約150万本の橋について情報が不足していることが最大の問題だと語った。
同氏によれば、これらの橋を点検する責任は各地方自治体と官民の組織の間で分担されており、定期的な点検を行っている橋はわずか6万本前後にとどまっているという。
「ジェノバのような事例は非常に珍しいが、イタリアでは毎年15~20本程度の橋が崩落している」とマルティネッロ氏は指摘した。