ローマ法王、アイルランドでミサ 虐待問題で「許し」求める
ダブリン(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は26日、アイルランドの首都ダブリンでミサを行った。数十万人が参列する一方、市の中心部には数千人を超える人々が集まり、聖職者による性的虐待の問題に対して抗議の声を上げた。
カトリック教会をめぐっては、米国や豪州、南米で、虐待の事実並びにその隠蔽(いんぺい)が発覚するスキャンダルが相次いでいる。最近の報道では、数年前にさかのぼるこうした虐待の訴えをフランシスコ法王が無視してきたとも伝えられていた。
2日の日程でアイルランドを訪れたフランシスコ法王は、50万人を超える参列者に向かって虐待の問題に言及。「教会として被害者にいかなる同情も寄せず、正義と真実を求めることもなく、具体的な行動を起こさなかった。それについて許しを請いたい」と述べた。
同日にはバチカンの元駐米大使が、虐待への対応を批判してフランシスコ法王の辞任を要求した。この元大使が明らかにしたところによると2013年当時、枢機卿のセオドア・マカリック氏に対して虐待の疑いが浮上していることを報告したにもかかわらず、フランシスコ法王は何の措置も講じなかったという。
ワシントン大司教でもあった88歳のマカリック氏に対しては、ミサの侍者を務めていた10代の少年を性的に虐待したとの疑惑が数十年前から取り沙汰されていた。同氏は先月、枢機卿を辞任した。
フランシスコ法王のミサに合わせ、ダブリン中心部には数千人が集まり、カトリック教会の虐待に抗議した。集会を組織したコルム・オゴーマン氏は自らも虐待の被害者であり、現在は国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の幹部を務めている。