国歌斉唱の起立拒んだ9歳女児、政治家が集中非難 オーストラリア
(CNN) オーストラリア東部クイーンズランド州の公立学校に通う9歳の女子児童が、先住民に敬意を表して国歌斉唱時の起立を拒み、大物政治家らの集中非難を浴びている。
渦中の児童、ハーパー・ニールセンさん(9)はCNN系列局ナインニュースの取材に対し、オーストラリア先住民に対して礼を欠くとの考えから、国歌斉唱の際に起立しなかったと説明した。
同国の国歌「アドバンス・オーストラリア・フェア」には、「オーストラリア国民よ、皆で喜ぼう、我々は若く、自由なのだから」という一節がある。
しかしニールセンさんは、「国歌のアドバンス(『前進』の意味)は白人のこと」「我々は若い、という一節は、私たちより前に5万年もこの地にいた先住民のオーストラリア人を完全に無視している」と訴える。
オーストラリアの人口の約2%を占める先住民は、平均寿命が短く、乳児の死亡率は2倍にも上る。
過激な発言で知られる右派のポーリン・ハンソン上院議員は、12日にビデオ声明を発表し、学校が子どもたちを「洗脳している」と主張。ニールセンさんを学校から「追い出せ」とかみついた。
トニー・アボット元首相はシドニーのラジオ局2GBに対して11日、「国歌斉唱の際に起立するのはマナーの良さと礼儀の表れ」とコメント。
クイーンズランド州の影の内閣の教育大臣でもある自由国民のジャロッド・ブリージー議員は、ニールセンさんを「悪がき」呼ばわりし、両親にも矛先を向けた。
こうした批判に対し、父のマーク・ニールセンさんは、娘の行動を「非常に勇敢」と評価。学校長と面談したが、まだ合意には至っていないと話している。