英領ジブラルタル、イランのタンカー解放決定 米の要請受け入れず
(CNN) 英領ジブラルタルの最高裁は15日、同地沖で当局が先月拿捕(だほ)したイランの石油タンカーについて、解放を認める判断を示した。米国はこの直前、ジブラルタルに拘束延長を求めていたものの、こうした要請に従わなかった形だ。
ジブラルタル当局によると、イランと石油の所有者から、タンカーが解放されても積み荷をシリアに輸送しないとの確約を得たという。シリアへの石油輸送は欧州連合(EU)制裁違反に当たる。
タンカーは6週間前、ジブラルタル近海を通過中に拿捕された。その2週間後にはイランがペルシャ湾で英国船を拿捕、報復措置との見方が広がっていた。
自治政府のピカード首相はCNNの取材に、「ジブラルタルはタンカーの拿捕に非常に慎重に対応してきた」と強調。7月に拿捕に踏み切ったのは、シリアに積み荷を輸送中との証拠を入手したためだと説明した。
さらに「船を調査した結果、我々の見方が正しかったことが裏付けられた」とし、タンカーがもうシリアに向かわないとの確信を得たうえで解放を決めたと明らかにした。
米国はタンカー解放阻止に向け土壇場で介入。ジブラルタル司法長官の弁護士は15日午前の裁判所審理で、米司法省から拘束延長の要請があったと明らかにした。米政府の法的な動きの根拠は不明。
裁判所は休廷をはさんだ同日午後の審理でタンカー解放を確認した。
イランのザリフ外相はツイッターで米国の動きを「海賊行為の試み」と非難。イランの駐英大使は「米国は土壇場で解放阻止を狙った不毛な試みに出たものの、屈辱的な敗北を喫した」と述べた。