旧ソ連の女性スパイ死去、ナチスの連合国首脳の「暗殺阻止」
(CNN) ロシア大統領府は27日、第2次世界大戦中の米英、旧ソ連の指導者によるイラン・テヘランでの初の会談を狙いナチス・ドイツが企てていた3首脳暗殺の陰謀を阻止したとする旧ソ連の女性スパイが死去したと発表した。
この女性はゴアル・ワルタニャンさんで93歳だった。ロシアの国営RIAノーボスチ通信によると、死去は25日でモスクワの墓地に埋葬される予定。
テヘランで1943年に開かれた3カ国首脳会談には、英国のチャーチル元首相、米国のルーズベルト元大統領に旧ソ連のスターリン議長が参加した。
ロシアのペスコフ大統領報道官は記者会見で、プーチン大統領はワルタニャンさんの死去に弔意を示したと表明。報道官は、同じく旧ソ連のスパイだった夫の故ゲボルク・ワルタニャンさんと共に人間の歴史の展開に影響を与える功績を見せたととむらった。
フランスのAFP通信によると、ゴアルさんは1926年1月25日、旧ソ連が支配していたアルメニアで生まれた。一家は1930年代初期にイランへ移り、ゴアルさんは16歳の時に反ファシズム組織の活動に関与。ゲボルクさんと共にナチス・ドイツの工作員摘発などに当たったという。
2人は1951年、旧ソ連に移った後、諜報(ちょうほう)活動に長年、携わったともされる。ゲボルクさんには旧ソ連の「英雄」称号も授けられていた。
AFP通信によると、ロシアの情報機関「ロシア対外情報局」はゴアルさんとゲボルクさんは多くの国で極限的な環境に遭遇しながらも活発な諜報活動を進めたと述べた。