エチオピア北部の紛争地で多数の市民虐殺か アムネスティ
(CNN) エチオピア連邦政府軍と同国北部ティグレ州を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)との戦闘が続くなか、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、州南西部のマイカドルで多数の市民が虐殺されたとの見方を示した。
アムネスティの報告によると、マイカドルでは9日夜に大規模な虐殺が起きた。アムネスティが確認した写真やビデオには、町中に遺体が散乱し、負傷者が担架で運ばれる場面がうつっている。戦闘とは関係のない日雇い労働者らが殺害されたとみられる。
負傷者らはなたやおの、ナイフで襲われたと話し、傷の様子からも鋭利な刃物が使われたことがうかがえるという。
CNNは虐殺の主体や犠牲者数を独自に確認していない。
昨年のノーベル平和賞を受章したアビー首相は2018年、国内融和を掲げて就任したが、民族間、党派間の対立は深まるばかりだ。
ティグレ州での紛争は、アビー氏が今年8月、新型コロナウイルス感染拡大への懸念を理由に総選挙の延期を発表したのに対し、同州が独自の選挙を強行したことをきっかけに激化した。
連邦政府軍は今月初め、TPLFに対して事実上の開戦を宣言。アビー氏がティグレ州への空爆を含む「法執行作戦」を指示していた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ティグレ州では戦闘激化を受け、これまでに少なくとも1万1000人が隣国スーダンへ逃げ込んだ。難民の半数を子どもが占めている模様。UNHCRとスーダンは当初、難民2万人の受け入れ態勢を用意していたが、この枠を10万人に拡大したという。
現地との間ではインターネットなどの通信が途絶え、上空や道路も封鎖されているため、人道支援活動も難航している。