人類が自然に仕掛ける「自殺的」戦争、国連事務総長が「和平」訴え
(CNN) 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2日、米ニューヨークのコロンビア大学で行った地球環境の現状に関する演説の中で「人類は自然に戦争を仕掛けている」と語り、今こそ「自然との和平」を最優先とすべき時だと訴えた。
演説の中でグテーレス事務総長は、「私たちは破壊的なパンデミック、記録的な地球温暖化、記録的な生態系の悪化、より公平かつ包括的で持続可能な開発を目指す世界的目標の新たな後退に直面している」と述べ、「単純に言って、この惑星の状態は壊れている」と形容した。
その上で、世界気象機関と国連環境計画(UNEP)が発表した報告書に言及して「私たちが環境破滅にどれほど近づいているかを描き出した」と指摘。そうした環境破壊が進む中で、新型コロナウイルスは、優先順位を気候変動対策と環境保護対策に設定し直す機会をもたらしたとの見方を示し、今行動を起こさなければければ、その機会を逸する危険があると危機感を示した。
「人類は自然に戦争を仕掛けている。これは自殺的だ。自然は必ず反撃する」。グテーレス事務総長はそう語り、既に生物多様性の崩壊、種の絶滅の危機、砂漠の拡大と森林の喪失という形で自然が反撃力と憤怒を強めていると指摘する。
「海洋は魚類を乱獲され、プラスチックごみで窒息している。海は二酸化炭素を吸収して酸性化する。サンゴ礁は白化して死んでいる」
「大気汚染や水質汚染は年間900万人を殺害する。その犠牲者数は現在のパンデミックの6倍を超す。人間と家畜が動物の生息地をさらに侵害して野生空間を破壊することで、ウイルスなどの病原体が動物から人間へと乗り移る」。グテーレス事務総長はそう話し、「自然との和平は21世紀の決定的な課題だ。誰であれ、どこであっても最優先課題としなければならない」と強調した。