バイデン氏の10の気候変動対策、就任初日に実行を約束
ワシントン(CNN) バイデン次期米大統領は来年1月20日の就任初日に気候変動対策を中心とする数多くの大統領令への署名を計画している。
立法的な措置は民主党が上院で過半数を握れるかが重要となるが、それは1月5日にジョージア州で行われる決選投票での2議席の結果次第だ。だが、大統領令なら議会の承認が不要で、上院の情勢に関わりなく進められる。
バイデン氏が就任初日に実行すると述べた10の対策は次の通り。
・石油やガスの操業でのメタン汚染に制限を設ける
・100%クリーンエネルギーで排出ゼロの乗り物の普及を目指し、連邦政府の調達システムを使う
・米政府の建物や施設をより効率的で気候変動に対応したものにする
・既存の大気浄化法の施行を進め、新たな燃費基準を策定して交通機関による温室効果ガスの排出量を削減する。これにより小型車や中型車の新車は全て電動化され、大型車については毎年改善されるようにする
・先進バイオ燃料などの液体燃料への取り組みを強化し、農業が気候変動への解決で重要な役割を担うようにする
・電化製品やビルの効率性に新たな基準を設け、排出量や消費者のコストを低減する
・温室効果ガス排出や気候変動の影響を検討するための連邦の許可に関する決定を求め、全ての連邦インフラ投資で気候汚染が減るようにする
・公開会社に自社の操業とサプライチェーンにおける気候変動リスクと温室効果ガス排出の情報開示を求める
・2030年までに生物の多様性を保護し、絶滅の進む速度を遅らせ、米国の土地と水の30%を保全する
・2030年までに北極野生生物国家保護区を永続的に保護し、国立公園や国定記念物を設置し、公共の土地での新たな石油やガス掘削の許可を禁止し、気候コストや森林再生を進めるプログラム策定を踏まえた使用料に修正し、連邦の土地や水域での再生可能エネルギーを開発し洋上風力発電を倍増させる
バイデン氏の陣営で政策ディレクターを務めるステフ・フェルドマン氏は、バイデン氏の気候計画は政府が一丸となって進めていく事項で、省庁間を横断した取り組みになると説明。インフラ整備を気候変動に対応させ、地域社会が気候変動の影響に強くなるようにしていくとも語る。
バイデン氏は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする野心的な気候変動計画を発表。計画にはクリーンエネルギーや環境関連の仕事への1兆7000億ドル(約178兆円)の投資や、化石燃料に対する補助金の終了の要求、公共の土地における新たな石油やガスの操業許可の禁止が盛り込まれている。
バイデン氏はまた、17年にトランプ大統領が脱退を表明した気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」への復帰も就任初日に行うと約束している。