ヨルダン国王が沈黙破り「つらい」 反乱の芽を摘んだと言及
アンマン(CNN) ヨルダンのアブドラ国王は7日、最近王室内で起きた騒動について、22年間の統治で「最もつらい」出来事だと声明で述べた。
ヨルダン当局は先週末、高官1人や王室メンバー少なくとも1人を含む約15人を拘束した。元皇太子で国王の異母弟のハムザ王子はメディアに向けた動画で、自宅に軟禁されていると伝えていた。
当局は、ハムザ王子が外国勢力の支援する王国を「不安定化させる」企みに加担していたと発表。王子はそれを否定していた。
アブドラ国王は「我々の1つの家の内外から反乱があり、兄、ハシミテ王家の長、この誇るべき国民の指導者として、私の受けた衝撃、痛み、怒りは何物も及ばない」と述べた。
臆測が飛ぶハムザ王子の居場所にも触れ、「彼の家族とともに、彼の王宮にいて、私の保護下にある」と明かした。
また王国の「反乱」は「芽を摘まれた」とも述べた。
ハムザ王子は故フセイン国王の息子で、1999年の国王の死去以降皇太子の地位にいた。だが、5年後の2004年にアブドラ現国王が皇太子の地位をはく奪し、代わりに自分の息子を皇太子に据えた。
ハムザ王子は先週末に英BBCに向けた動画の中で、反政府的な計画の疑いを否定。国の指導層を批判し、インターネットや電話が切断され実質的に軟禁状態にあると述べていた。
だが5日になり、王宮府はハムザ王子が国王に忠誠を誓うと署名した書簡を公表。事態は沈静化した様子を見せている。
ヨルダンは政府の汚職や不適切な統治に対する批判が高まり、経済問題も抱える。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で経済状況はさらに悪化し、失業率や貧困率は記録的高さとなっている。
人口の大半を占める若者の間で特に不満が募り、抗議デモも行われている。ただ、そうしたデモに対する寛容さは大きく減退している。