男子独占の軍士官学校に女性の受験を初承認、インド最高裁
ニューデリー(CNN) インドの最高裁判所は2日までに、同国の陸海空軍を将来担うエリート幹部を養成する国防士官学校(NDA)が今年11月に予定する入学試験に女性の受験を認める判断を示した。合格者がいれば同校では初めての女性士官候補が来年の新学年で誕生することになる。
最高裁は今年8月、女性の受験を承認する見解を発表。ただ、政府は同校に女性を迎え入れる準備を理由に受験の1年延期を要請した。身体能力の基準の設定や新たな寮の新設などの必要性に触れていた。
最高裁は今回、政府の言い分を覆し当初の立場を維持したことになる。国防士官学校への女性の受験問題は首都ニューデリーの弁護士が主導する請願運動がきっかけで昨年始まったが、意見聴取などの手続き開始は今年になってからだった。
インドではこれまで女性の将校昇進や他の軍兵士養成学校への入学は容認されていたが、NDAだけは女性を締め出していた。
事務職の従事が多いとされる女性兵士の戦闘任務への参加禁止は続くとみられているが、NDA受験が実現すれば司令官など高位への昇進の道も開かれる。戦闘任務への参加を支持する意見も強まる可能性がある。
CNNに協力する地元テレビ局によると、女性兵士の割合は海軍で6.5%、空軍は1.08%、陸軍は0.56%。最近までは陸軍の女性将校の軍務はあくまで短期で、10~14年の任務後は除隊する内規に直面してもいた。
ただ、近年は女性の入隊に関する障害の除去を命じる裁判所命令が目立っている。空軍は2016年に初の女性操縦士を誕生させ、19年には海軍が追随した。
この中で最高裁は昨年、政府に対し女性兵士に永続的な軍務や司令官任務を付与する歴史的な判断も示していた。
NDA受験への女性参加を求める請願運動を進めてきた弁護士は今回の最高裁の判断を歓迎。軍への女性進出を促す新たな時代の先駆けとはならないだろうとしながらも、国防士官学校の今後の対応を見極める必要性に言及。そのうえで最高裁の今回の判断が女性の勝利を意味する象徴的な効果はとてつもなく大きいとした。