恋人をアゾフスターリ製鉄所で殺されたウクライナ人女性、今でも毎日テキスト送信
(CNN) ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で死亡したり、今も閉じ込められたりしている兵士の親族や恋人などが首都キーウ(キエフ)で行った記者会見で、CNNは恋人を狙撃手に殺されたナスティア・ビロウソバさん(21)に話を聞いた。
ビロウソバさんはインスタグラムのメッセージで恋人のドミトロ・チョルヌイさんが死亡したと知らされた。最初は信じなかったが、3日後、正式な死亡通知を受け取った。
ビロウソバさんは同年齢のチョルヌイさんと4年間交際し、ジョージア(グルジア)に行くことを夢見ていた。
チョルヌイさんから最後にメッセージを受け取ったのは3月1日。ビロウソバさんは今もチョルヌイさんに毎日テキストを送り、自身の生活やチョルヌイさんの死を受け入れられないことを伝えている。
涙をぬぐうニコルさんとそのひざに座る甥のキリルくん。前日に親友がアゾフスターリ製鉄所で死亡したと知らされた/Daria Markina/CNN
CNNに名前のみ明かしたニコルさん(21)は甥(おい)のキリルくん(5)をひざに乗せて記者会見に参加した。
ニコルさんはキリルくん、妹と共に5日かけてマリウポリからザポリージャに脱出した。2日間歩き、砲撃から身を守るために教会で一夜を過ごしたという。ザポリージャに到着したのは先月6日だった。
ニコルさんは11日、アゾフスターリ製鉄所で戦っていた親友のオレクサンドルさんが死亡したと告げられた。
「彼は優しくて素敵な人だった。一緒に戦った仲間を愛していた。心配するな、大丈夫だとよく言ってくれた。今、私は何も感じない」とニコルさんは語った。
オレクサンドルさんからのメッセージはどんどん少なくなっていた。最後にメッセージが送られてきたのは今月8日だった。
「私はこれが間違いであること、彼が生きていることを信じ、願っている」とニコルさんは話した。
ウクライナのベレシュチュク副首相は12日、ロシア人捕虜との交換を条件にアゾフスターリ製鉄所から重傷の兵士を避難させる「非常に難しい交渉」が進行中だと明らかにした。