安倍氏が掲げた「自由で開かれたインド太平洋」のビジョン
(CNN) 「自由で開かれたインド太平洋」――。
この言葉はいまや米軍やその一部であるインド太平洋軍のスローガンになった。インド太平洋軍によると、同統合軍が管轄する米軍部隊は36カ国にまたがる地域に関与しており、そこには世界人口の半分以上が暮らしている。
米軍の軍艦や軍用機、部隊がこの地域で活動する場合、米軍のプレゼンスの発表に際して必ずといっていいほど「自由で開かれたインド太平洋」への言及がある。
だが、この言葉は米国防総省ではなく、8日に銃撃され死亡した日本の安倍晋三元首相が提唱したものだ。
外務省によると、安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを発表したのは、2016年にケニアで行われた開発会議で演説した時のことだ。
安倍氏は会議でこのビジョンの「3本の柱」を列挙した。
第一に法の支配や航行の自由、自由貿易などの普及と定着、第二に経済的繁栄の追求、第三に平和と安定の確保だ。
安倍氏は18年に国会で行った演説でこの戦略に触れ、「太平洋からインド洋に至る広大な海。古来この地域の人々は、広く自由な海を舞台に豊かさと繁栄を享受してきた。航行の自由、法の支配はその礎となる。この海を将来にわたって、全ての人に分け隔てなく平和と繁栄をもたらす公共財としなければならない。自由で開かれたインド太平洋戦略を推し進める」と述べていた。