NATOが核戦力部隊の訓練を実施、ロシアも近く計画
(CNN) ウクライナ戦争をめぐり対立する北大西洋条約機構(NATO)とロシアが核戦力運用部隊の訓練をそれぞれ実施あるいは予定していることが22日までにわかった。
複数の米政府当局者が明らかにした。双方の訓練は以前から計画されていたもので、米国防総省や米情報機関は今月末前までに開始が予定されるロシア側の演習で核兵器の異例かつ予想外の移動などを注視している。
米国防総省高官はCNNの取材に、ウクライナ戦争が続いているなかでロシアによる核兵器利用にふくみを持たせた言動と核部隊の訓練実施の決定は無責任な行為とも非難した。
ロシアの訓練は「グロム」と呼ばれ、毎年実施されている。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報担当調整官はこの訓練の期間は数日間と予想している。「実際のミサイル発射や戦略的な軍事資産の配備などが実施される」と述べた。
一方、NATO側の年1回の訓練「ステッドファスト・ヌーン」は17日に始まり、米国を含め14カ国が参加。米国防総省によると訓練は過去10年余にわたって続いている。
核弾頭が搭載可能な戦闘機も動員するが、実際の核兵器の積み込みはないとみられる。米ノースダコタ州の基地所属の戦略爆撃機B52も参加する予定。主要な訓練地域はロシア側から625マイル(約1006キロ)以上離れているという。
米国防総省当局者は、訓練についてNATOの核抑止力の信頼性、効果や安全性などを見極めるのが目的と指摘。
NATOによると、訓練には最多で60機の航空機が参加。最新型戦闘機、偵察機や給油機が含まれるとし、飛行空域はベルギー、英国や北海上空とした。
ロシアの今回の演習について米国や同盟国はウクライナ戦争をめぐる緊張関係を踏まえ、その内容に対するより注意深い監視が必要と判断している。ロシアの演習の焦点は戦略的兵器の動向とみられ、同国が国際条約上で義務づけられている事前通告が必要な弾道ミサイルの試験になるとしている。
NATOと米政府当局者はロシアの演習では、核兵器に関する動きは全て正確に探知できるとの自信を表明もした。NATOのストルテンベルグ事務総長は最近、ロシア側が発する危険な核兵器利用に関する言動と婉曲(えんきょく)的な脅迫の問題に関しては警戒態勢を一切解かないとの考えも表明していた。