映画「ホテル・ルワンダ」の英雄釈放、テロ罪で禁錮25年も減刑
(CNN) ハリウッド映画「ホテル・ルワンダ」のモデルになったポール・ルセサバギナ氏が24日、ルワンダのカガメ大統領によって減刑され、刑務所から釈放された。
ルセサバギナ氏は米国の永住権を持つ。複数の米政権高官は同日、記者団に対し、同氏がルワンダ首都キガリにあるカタール大使公邸に移送されたと明らかにした。
高官の一人によると、ルセサバギナ氏は数日過ごした後、ドーハ経由で米国に向かう見通しだという。
ルセサバギナ氏はカガメ大統領への批判を公言する人物。ルワンダでジェノサイド(集団殺害)が発生した際、自身の経営するホテルに大勢のルワンダ人をかくまったことで知られる。
ルセサバギナ氏は2020年、海外渡航中にルワンダ当局によって拘束された。家族は拉致されたと訴えている。
21年9月にテロ関連罪で有罪判決を受け、禁錮25年を言い渡された。22年10月には書簡でカガメ氏に恩赦を要請していた。
ルワンダ政府の報道官は今回、「減刑は根底にある有罪判決を取り消すものではない」と発言。「ルワンダはこの問題を巡る対話の環境整備に米政府が果たした役割と、カタールの力添えに留意する」と述べた。
ブリンケン米国務長官は「ルセサバギナ氏が家族に再会したのを知り、安堵(あんど)している。米政府はこの再会を実現したルワンダ政府に感謝するとともに、ルセサバギナ氏が米国に戻れるようにするカタール政府の貴重な支援にも感謝している」と述べた。
ルセサバギナ氏は21年の裁判で、テロ組織「MRCD―FLN」に所属したとして有罪判決を受けた。しかし、非営利団体「正義のためのクルーニー基金」はこれを「見せしめの裁判」と形容。有罪判決について「国際基準やアフリカの基準で求められる」公平さの保証を欠いていると主張していた。
米政府はルセサバギナ氏が不当に拘束されたとの判断を示していた。