ANALYSIS

曖昧さに包まれたウクライナ軍の反転攻勢、これも計画通りか

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ウクライナが既に反攻を開始したとみられる兆候が各地で確認されている/Libkos/AP

ウクライナが既に反攻を開始したとみられる兆候が各地で確認されている/Libkos/AP

ことによると反転攻勢が始まったと我々が理解できるのは、最初の具体的な戦果が明らかになった時なのかもしれない。今起きている多くのことは、表に出てきていない。

このように事態を曖昧(あいまい)にする目的が、ロシア政府を揺さぶり続けることにあるのは明白だ。ウクライナ軍が新たな攻撃を仕掛けるたび、「それ(反転攻勢)」を遂行しているのか、単にまた探りを入れに来ただけなのか、ロシア側が見極めるのを不可能にする狙いがある。

ウクライナ政府はここまで、自分たちの意図や準備を隠すことに成功している。反攻開始に見せかけた可能性のある作戦行動についても、真相をつかませてはいない。ウクライナ軍には忍耐力と、計画を漏らすことなく入念に遂行する能力とが備わっているように見える。片やロシア政府は、自分たちの機能不全を完全に露呈した。このことは向こう数週間で非常に重要な意味を持つだろう。ロシア政府は見たところ悪い知らせの扱いが非常に不得手であり、表にも出し過ぎる。

これまでのところ我々が入手したウクライナ軍の作戦に関する情報の大半は、占領地域で任務に就く親ロシア派の当局者や軍事ブロガーから寄せられたものだ。時としてそれは、意図的な偽情報の可能性をはらむ。

ロシア側の情報筋がロシア軍について、今夏リマンで包囲される恐れがあると警告したのは策略だった公算が大きい。ロシア側の意図する静かな撤退から注意をそらす狙いがあったとみられる。しかし、彼らがネット上で戦わせる方策や弱点についての議論が兵士に無用の混乱を引き起こすケースもある。ロシア軍のヘルソンからの撤退もまた、相反するメッセージを複数の高官が発した驚くべき事例だった。

民間軍事会社ワグネルと激戦地バフムートを巡る不穏な動きや、彼らの発する混乱したメッセージに関しても、意図した偽情報の目くらましだと説明するのは無理がありそうだ。前線の士気が極めて低いのが確実な状況で、誰もあのような騒ぎを見たいとは思わない。

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