(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は5日放送のCNNの単独インタビューで、ロシアの敷いた強固な防御網により反転攻勢に「遅れが出ている」との認識を示した。欧米諸国からの兵器供与で「もっと大幅に早く」反攻を開始できていれば望ましかったとも述べた。
ウクライナ南部オデーサでCNNのインタビューに応じたゼレンスキー氏は、一部の地域では「関連兵器」がないため、軍が「攻撃開始を検討すること」さえできない状況だと明らかにした。
ゼレンスキー氏は「我々への支援を主導している米国には感謝している」と表明。「ただ、私は米国や欧州の指導者に対し、もっと早く反攻を開始したい、そのためには兵器や物資が必要だと訴えていた。単純に反攻開始が遅れれば、それだけ時間がかかるからだ」と述べた。
さらに、戦場での困難な情勢が反攻の「遅れ」につながっているとも指摘した。
「もっと大幅に早く反転攻勢を始めたかった。反攻の実施が遅れればその分、より広い領土に地雷が敷設されるのは分かりきっていたからだ。敵により多くの地雷を仕掛け、防衛線を準備する時間と可能性を与えてしまう」(ゼレンスキー氏)
ウクライナの当局者からは、すでに反攻が進行中だが、主要な攻勢は始まっていないとの発言が繰り返し出ている。
マリャル国防次官は先月、ウクライナは一部の予備兵力を待機させており、「主要な攻撃」が行われるのはまだ先のことだと述べた。
ただ、ゼレンスキー氏はどの方面を攻撃するにしても時間との闘いになると述べ、「開始が遅れれば遅れるほど、我々にとって困難さが増す」との認識を示した。
ゼレンスキー氏は欧米政府に対し、長射程の「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)」などの先進兵器を供与するよう改めて要請。今すぐ必要だと訴えた。
「ATACMSの供与により反攻開始の機会が生まれる方面もある」「一部の方面では、関連兵器がないために、反攻開始を検討することさえできない状況だ。ロシアの長距離兵器によって国民をむざむざ死なせるのは非人道的という他ない」(ゼレンスキー氏)
ゼレンスキー氏はまた、米国製F16戦闘機の供与を求める方針を改めて強調。米国は同盟国にウクライナ人パイロットへのF16の飛行訓練を許可したものの、機体の再輸出については依然承認していない。
「ロシアに対してウクライナが空で優位に立てる訳ではない」「単に対等になるだけだ。F16は地上部隊の前進の助けになるというだけでなく、単純な話、空からの援護なしでは非常に厳しい」