BRICS首脳会議 習近平氏がビジネス会合を欠席、理由は不明
(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は22日、南アフリカで開かれている新興5カ国(BRICS)首脳会議のビジネス会合を予想に反して欠席した。代わりに王文濤商務相が習氏の名前で激烈な声明を読み上げ、米国の覇権を非難した。
習氏は21日にヨハネスブルクに到着。翌日午後のビジネス会合でインド、ブラジル、南アの首脳と同席し、演説を行う予定だった。
ところが当日、会場に習氏は姿を見せなかった。中国政府からの公式な発表や説明もなかった。
会合では事前に用意された本人の声明を王氏が読み上げた。声明の中で習氏は世界に対し、夢遊状態で「新冷戦という奈落へ」足を踏み入れるのを避けるよう呼びかけた。
さらに米国を直接名指しはしなかったものの、「一部の国は覇権を維持する考えにとりつかれており、新興市場や開発途上国を弱体化しようと躍起になっている」と指摘。
その上で「急成長する国は封じ込めの標的になり、先進国に追いつこうとする国は妨害を受ける」と付け加えた。
BRICS首脳で会合を欠席したのは習氏のみ。ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻をめぐり国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているため対面での参加とはならなかったが、それでもビデオ演説を行った。
ジャーマン・マーシャル・ファンドのインド太平洋プログラムを統括するボニー・グレーザー氏は、「中国の指導者が多国間会議の開催国を訪れながらその開幕イベントを欠席するというのは極めて異例だ。とりわけBRICSのように中国が深く投資している国々の会合では」と述べた。
戦略国際問題研究所(CSIS)で中国関連のプロジェクトに携わるブライアン・ハート氏は「会合を欠席せざるを得ない事情があったように思われる。健康面のことかもしれないし、差し迫った問題が起きて、自ら注意を振り向けなくてはならなくなった可能性もある」と分析。このほか首脳会談の成り行きに対する反応として、ビジネス会合を欠席したとも考えられるとした。
ビジネス会合の前の22日午前、習氏は南アのラマポーザ大統領と会談。夜には同大統領が主催した夕食会にブラジル、インド両国の首脳、ロシア外相と共に出席した。
ビジネス会合に関する中国国営新華社通信の報道は、習氏の欠席に言及しなかった。同氏の声明が王氏によって読み上げられたことも伝えられなかった。