ガザの病院半数が業務停止、軍事衝突で医療関係者491人が死亡
(CNN) パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマラに本拠を置くパレスチナ自治政府の保健省は1日、イスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の軍事衝突が続くガザ地区の16病院で爆撃と燃料不足が原因で業務の中断を強いられたことを明らかにした。
ガザにある病院の総数は35で、約半数が閉鎖を迫られたことになる。声明で、この中にはがん治療ではガザで中心的な役割を果たしていた「トルコ・パレスチナ友好病院」も含まれるとした。
カイラ保健相は、同病院に入院するがん患者70人の命が深刻に脅かされていると警告。軍事衝突がもたらした「悲惨な保健衛生環境」にさらされ、他のがん患者約2000人の存命も非常に危うい状況にあるとした。
同病院の幹部はCNNに、イスラエル軍の攻撃で病院の建物は損壊し、3階部分は直撃を受けたとも証言。負傷者はいなかったが、酸素や水供給の機能に障害が出たとした。
イスラエル軍はCNNの取材に声明で、同病院を攻撃していないと主張したが、さらなる説明はしなかった。
パレスチナ自治政府の保健省はまた、ガザでは最大規模の「アルシファ病院」で燃料が尽き、24時間内に業務が止まるだろうと指摘。同病院の近くはイスラエル軍の空爆に再三襲われていたと述べた。
一方、世界保健機関(WHO)は2日までに、ガザで軍事衝突に巻き込まれて死亡した医療分野の関係者は少なくとも491人で、負傷者は372人に達したと報告した。
ハマスがイスラエルへ大規模奇襲を仕掛けた先月7日以降の死傷者をまとめたもので、同月30日時点での人数となっている。
WHOは声明で、これら死傷者のうち勤務中に命を落としたのは少なくとも16人で、30人がけがを負ったとした。医療施設への攻撃回数は記録された分だけで82件だった。先月7日以降に損傷を受けた救急車は28台で、被害など受けた医療施設は36とした。
WHOによると、ヨルダン川西岸や東エルサレムにある医療部門への攻撃は118回に及んだ。10月7日以降に死亡した医療従事者は3人で、負傷者は15人となっている。
CNNはイスラエル軍にWHOの今回の報告についてのコメントを求めたが、先月30日段階で回答はなかった。イスラエル軍はこれまでハマス掃討戦で民間人を意図的には攻撃していないとの立場を示している。