ローマ教皇、イスラエル大統領と「緊迫の応酬」の会談、ガザ情勢
(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が今年10月下旬、イスラエルのヘルツォグ大統領と電話で会談した際、パレスチナ自治区ガザ地区の軍事衝突の是非などをめぐって「緊迫したやりとり」を交わしていたことが7日までにわかった。
米紙ワシントン・ポストが、この会談内容に通じているイスラエル政府高官の話として報じた。教皇とヘルツォグ氏の間に電話会談があったことはこれまで明らかにされてもいなかった。
同紙によると、大統領はガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」が10月7日、イスラエルへ大規模奇襲を仕掛けた時にイスラエルが受けたかつてないほどの強い衝撃に触れた。教皇が率直に「テロ行為にテロ行為で応じるのは禁じられている」との考えを突きつけた後の返答だったという。
ローマ教皇庁筋はCNNの取材に、教皇とイスラエル大統領が10月末に電話会談したことを確認した。
教皇庁はワシントン・ポスト紙に寄せた声明の中で「この電話会談はキリスト教の聖地での紛争状態の重大性と紛争の範囲の抑制を図る教皇の努力と関係している」と指摘した。
フランシスコ教皇はヘルツォグ氏と電話会談した後の11月2日にはパレスチナ自治政府のアッバス議長とも電話で話し合った。10月22日はバイデン米大統領に電話し、ガザ情勢で意見交換していた。
教皇は、ハマスとイスラエル軍の軍事衝突はテロリズムとの見解を公の場で既に示していた。バチカンのサンピエトロ広場で先月22日に行った一般謁見(えっけん)で、同日朝にイスラエル人とパレスチナ人の代表団を迎えたことに言及し、双方の代表団のメンバーの親族がガザで人質になったり、ガザで苦難に遭遇したりしていることを明かされたと説明。
「彼らの苦しみがいかなるものかを聞かされた。戦争がもたらしたものだ」としながらも、「戦争状態を踏み越えてもしまった。これは戦争ではなくテロリズムだ」と強調していた。