ウクライナ大統領、指導部の大幅刷新を検討 軍総司令官の解任以上の動きも示唆
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は、軍の総司令官を含む同国指導部の多くを入れ替えることを検討していると明らかにした。ロシアによる全面侵攻から2年近くが経過し、自国の向かう道筋を「リセット」する狙いがあるという。
4日に放送されたイタリアの国営放送RAIとのインタビューで語った。ゼレンスキー氏は「新たな始まりが必要」とし、「真剣に考えていることがある。1人の人物に関してではなく、国の指導部が目指す方向性を巡る考察だ」と説明した。
「この話をするときに意味するのは国家のリーダーたちをまとめて入れ替える措置であり、軍のような単一の部門だけを念頭に置いているわけではない」(ゼレンスキー氏)
ゼレンスキー氏は誰を入れ替えるかについて明言しなかったが、現在ウクライナ軍のザルジニー総司令官の今後を巡って臆測が広がっている。昨年末にかけ、両者の間では見解の相違に拍車がかかっているとの見方が出ていた。
昨年11月、ザルジニー氏は戦況が「膠着(こうちゃく)状態」にあるとの認識を表明。大統領府の高官は、ロシアを利するだけの言説だとしてこれを厳しく批判した。
より最近では、ウクライナ軍に大規模な動員の措置が必要かどうかを巡ってもゼレンスキー氏とザルジニー氏は対立している。ザルジニー氏は最大50万人の兵力を追加する必要があると提言したが、ゼレンスキー氏はこれを拒否した。
ゼレンスキー氏はザルジニー氏を数日中にも解任するとみられているが、大統領の報道官は先週、CNNをはじめとするメディアに対して軍総司令官の解任が近いとの噂(うわさ)は事実ではないと述べた。
ザルジニー氏の解任が実現すれば、軍関連の人事の刷新ではロシアによる侵攻開始以降最大のものとなる。
ただザルジニー氏はウクライナ軍の反転攻勢の失敗後も国民から圧倒的な人気を誇っており、同氏の解任はゼレンスキー氏にとっても政治的なリスクがあるとみられる。
キーウ国際社会学研究所(KIIS)が公表した昨年12月の世論調査の結果によれば、ウクライナ人の88%がザルジニー氏を支持しているのに対し、ゼレンスキー氏を支持しているのは62%だった。
調査は戦争の遂行を巡る両指導者の見解の相違が表に出た後で実施された。