CNNが見たハイチ首都の混沌 脱出できるのは一握り、数百万人がギャングの支配下に
ハイチ・ポルトープランス(CNN) ギャングが支配するカリブ海の島国ハイチの首都ポルトープランスにCNNの取材班が15日、ヘリコプターで到着した。数日にわたって治安面の手配を行い、何重にも及ぶ外交上の承認を経た上で現地入りが実現した。
先月訪れた時と比較して、ハイチの情勢は急激に悪化。窮地に陥ったアンリ首相は辞任を表明したが、誰がいつ後任に就くのかは不透明だ。暫定政権はいまだに設立しておらず、ケニア主導の国際部隊の派遣計画は宙に浮いた状態だ。
ポルトープランスの住民が外出することはめっきり減った。市内では連日ギャングと警察が戦闘を繰り広げ、煙が空に立ち上っている。静まり返った街路に、銃声が鳴り響く。通常は車両や物売りで埋め尽くされる大通りも閑散としている。
逃げる場所もほとんどない。市外へ続く道路はギャングに封鎖されている。港湾へのアクセスも同様だ。国際空港は業務を停止している。市内への物流も途絶えており、食料品店に食料は並ばず、ガソリンスタンドでも燃料は底をついている。病院では輸血用の血液が不足している。
15日夜、市内の丘陵地で銃声が聞こえた。そこから下った地点では警察が活動している。現場は悪名高きギャングのリーダーの縄張りに位置する。元警官でもあるこのリーダー、ジミー・シュリジエ氏は「バーベキュー」の通称でも知られる。
現状、ポルトープランスを脱出する手段は民間が稼働しているヘリコプターしかない。複数のパイロットがCNNの取材に明らかにしたところによれば、空路での脱出を依頼している住民は数百人。彼らは一握りの裕福な外国人や外交官で、民間のヘリコプターを利用できるだけの財力と人脈を持ち合わせた人々だ。現状、機体の座席は1人分で1万ドル(約150万円)を超えることもあるという。
過去数十年間で経済格差が深刻化したハイチでは、大半の国民が1日4ドル以下の生活を強いられている。