国連の産科医療物資も略奪 暴力激化のハイチ首都
ハイチ・ポルトープランス(CNN) ギャングによる暴力と人道危機が悪化しているハイチの首都ポルトープランスで16日、人工呼吸器などの産科医療物資を積んだ国連児童基金(ユニセフ)のコンテナが略奪された。
ユニセフによると、このコンテナにはほかにも幼児教育支援、教育支援の物資や給水装置が積み込まれていた。ポルトープランスでは先週、武装集団が港に侵入し、人道支援のコンテナ260個あまりが強奪されているという。
ユニセフ・ハイチ事務所のマース代表は、子どもの命を救うために欠かせない物資の略奪をただちにやめさせ、人道支援の安全を確保する必要があると訴えた。医療体制が崩壊するなかで子どもたちから生死にかかわる医療物資を奪うことは、子どもの権利を侵害する行為だとも指摘した。
ハイチでは1月から暴力が激化し、医療体制の崩壊が加速している。ユニセフによれば、ポルトープランスに住む女性や子どもの4人に3人は、基本的な公衆衛生サービスや栄養補給を受けられない状態だという。
外科手術のできる施設は市内に2カ所しかなく、国内の病院のうち6割は電力や燃料、医療用品不足で稼働できなくなっている。
警察は16日、「バーベキュー」の通称で知られるギャングのリーダー、ジミー・シュリジエ氏の拠点周辺で15日に掃討作戦を実施し、数人の「盗賊」を殺害したと発表した。本人が見つかったかどうかは不明だが、作戦の報告書がまもなく公表される見通し。
マース氏は、暴力を止めて物資の搬送ルートを再開できなければ、医療危機が大幅に悪化するだろうと警告している。