キューバで異例の抗議デモ、停電や食料不足に不満噴出
(CNN) キューバ各地で大勢の市民が生活の窮状を訴えて異例の抗議デモに加わり、ディアスカネル大統領は18日、国民と対話する用意があると表明した。
抗議デモは17日に少なくとも4都市で行われ、長時間続く停電や深刻化する食料不足に不満を訴えるとともに、政治的自由を求める反政府歌にちなんで「パトリア・イ・ビダ(スペイン語で『祖国も生も』の意味)」の叫び声を上げた。
カストロ元国家評議会議長のキューバ革命誕生の地として知られるサンティアゴデクーバでは、数百人が抗議デモに参加。地元の共産党幹部は集まった人たちに向けて屋上からの演説を試みた。
ディアスカネル大統領は18日、「国民の不満に寄り添い、耳を傾け、対話し、状況改善のために行われている多くの取り組みについて説明する」用意があると発表した。
キューバは急激なインフレで通貨ペソが暴落し、国家の給与の多くは卵1ケースの値段を下回る。政府は3月に入って燃料価格を6倍以上値上げし、国民の家計を一層の窮地に追い込んだ。
キューバではコロナ禍以来、頻繁に停電や食料、燃料、医薬品の不足に見舞われ、キューバから米国へ脱出する人は記録的な数に達している。
ディアスカネル大統領は、米フロリダ州マイアミに逃れたキューバ系住民の「テロリスト」がネットで抗議デモをそそのかしていると主張。米国の制裁のためにキューバ経済の窮状が深まっているとも訴えた。
抗議デモに集まった人たちは翌日までに解散した。デモ参加者は、大勢の警官が配備され、逮捕された人もいると伝えている。キューバ政府は通常、組織的な反対運動を許しておらず、逮捕されたデモ参加者の人数は明らかにしていない。