NATO、ウクライナ支援強化に向けた選択肢検討 背景にトランプ氏再選への懸念
(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、あらゆる選択肢を検討してウクライナに向けた長期支援の強化を図っている。その中には5年間で1000億ドル(約15兆円)規模の基金を加盟国が拠出する制度の設立も含まれている。事情に詳しい情報筋3人が明らかにした。
この協議に精通した欧州の外交筋は、「将来を見据えた動きだ」と指摘。検討中の変更は加盟各国による現行のウクライナ支援の修正、中断を一段と難しくするとし、即座にそうした状況になるだろうと説明した。
想定される基金の規模はウクライナの対ロシア戦争を無期限に支えられるほど大きくはないが、ウクライナに対して支援の基盤を提供することになるとみられる。NATO当局者らはこれを極めて重要な要素とみなしている。米国でトランプ前大統領が再選を果たせば、同国からの積極的なウクライナ支援が見込めなくなる懸念があるためだ。
ストルテンベルグ氏は2日、NATOとしてウクライナ支援の拡大を約束する必要があると明言。任意による資金拠出への依存を減らさなくてはならないとの認識を示した。
3日にはブリュッセルで開かれたNATO外相会合前の記者会見で、「NATOの包括的な支援パッケージを、多年にわたる支援プログラムに変更している」と説明した。その上で、外相会合ではウクライナに対する軍装備の調整や訓練に関して、NATOの責任をどのように強化していくかを議論する方針だと明らかにした。
また既にNATO加盟国はウクライナへの全軍事援助の99%を供与しているとも付け加えた。
トランプ氏に同調する米連邦議会の議員らは、ウクライナへの支援継続に強く反対している。トランプ氏自身は自らの対ウクライナ政策について現時点で明言していないが、米国が巨額の資金をウクライナへ送ることには明らかな反発を示している。
NATOはこの他、ウクライナへの軍事支援国54カ国で構成する「ウクライナ防衛コンタクトグループ」の主導権を米国から引き継ぐことも検討している。情報筋らが明らかにした。
これが実現すれば、トランプ氏が大統領に返り咲いても、ウクライナが必要とする兵器の支援に対する影響は比較的抑えられるとみられる。
NATOによるこれらの措置の検討は、米政治ニュースサイト・ポリティコが最初に報じた。