シェル石油へのCO2削減命令を破棄、オランダの控訴裁
ロンドン(CNN) オランダ・ハーグの裁判所が欧州の英石油大手のシェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)に対し、CO2(二酸化炭素)排出量を大幅に削減するよう命じた判決が、12日に覆された。ハーグの控訴裁判所が、特定量を削減する義務はないとの判断を示した。
シェルは2021年に、同社の操業と販売したエネルギー製品からのCO2排出量を30年までに45%削減するように言い渡され、控訴していた。
控訴裁の判事は、シェルにCO2排出量を制限する義務があることを認める一方、個別の企業が削減すべき具体的な割合については気候科学界の合意が不十分だと指摘し、削減命令を破棄した。
判事はさらに、シェルがすでに自社からの排出量の削減に取り組んでいること、製品使用による大量の排出を削減するよう命じても効果的ではないことを指摘した。
シェルのサワン最高経営責任者(CEO)は判決を歓迎し、「世界のエネルギー転換に向けた適切な判断だと確信している」とする声明を出した。
同社を訴えた環境団体「フレンズ・オブ・ジ・アース・オランダ」の責任者は、判決への失望を表明する一方、訴訟を通して大手の汚染源も責任を問われ得ることが証明され、議論がさらに盛んになったと主張。「だからこそ、私たちはこれからもシェルのような大手と戦い続ける」と述べた。
ただし、フレンズ・オブ・ジ・アースはオランダ最高裁に上告するかどうかを明言していない。