アゼルバイジャン大統領、ロシアの「隠蔽」を非難 旅客機墜落で
香港(CNN) カザフスタンでアゼルバイジャン航空機が墜落した問題をめぐり、アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、ロシア政府が「隠蔽(いんぺい)」を行っていると非難した。航空機の墜落によって38人が死亡し、アゼルバイジャンとロシアとの間で緊張が高まっている。
アリエフ氏は6日、生き残った乗務員2人や死亡した乗務員の遺族らと会談した。アリエフ氏は、初期の調査で、航空機はロシアの防空システムにより攻撃されたことが確認されたと明らかにした。アゼルバイジャンの国営メディアが伝えた。
アリエフ氏によれば、ロシア南部チェチェン共和国グロズヌイの空域は旅客機への攻撃後に封鎖された。
墜落した旅客機はアゼルバイジャン首都バクーからグロズヌイへと飛行していたが、カザフスタンへの緊急着陸を余儀なくされた。墜落により、搭乗していた67人のうち38人が死亡した。
アリエフ氏は「この事故によるアゼルバイジャンの民間人の死に対する罪はロシア連邦の代表者にあると自信を持って言える」と語った。アリエフ氏は、正義の裁きや、透明性があり人道的な処遇を求めた。
旅客機の墜落の後、ロシアのプーチン大統領は「ロシア領空で起きた悲劇的な出来事」について謝罪したが、責任は認めなかった。
クレムリン(ロシア大統領府)によれば、プーチン氏は、旅客機がグロズヌイに着陸を試みた際、ロシアの防空システムが作動しており、当時、その空域はウクライナのドローン(無人機)による攻撃を受けていたと説明した。
アリエフ氏は6日、改めて、ロシアが「隠蔽」を行っていると非難。「不合理なバージョンに焦点を当てた」ことで、アゼルバイジャンでの「驚きや後悔、当然の憤り」に火をつけたと述べた。
アリエフ氏は、グロズヌイ市が適切なタイミングで領空を封鎖したり、ロシアの軍と民間サービスが連携したりするなどしていれば、今回の悲劇は起こらなかったと語った。アリエフ氏は通常の手続きを外れ、アゼルバイジャン語ではなくロシア語で発言した。
墜落した旅客機はブラジル製のエンブラエル190型機で、アゼルバイジャンやロシア、カザフスタン、キルギスの人たちが搭乗していた。
ロイター通信によれば、ブラジル空軍は6日、回収された二つのブラックボックスのレコーダーからのデータ抽出を完了したと発表した。カザフスタンの国営メディアによれば、レコーダーはブラジルに送られ、透明性と信頼性を確保するためアゼルバイジャンと国際社会の専門家が分析を行った。
情報はカザフスタン当局にも送られる。カザフスタン政府はアゼルバイジャンと協力して調査を行う。
こうした動きとは別に、ロシアも連邦捜査当局が刑事事件として捜査を開始した。クレムリンが明らかにした。