英首相、2027年までに防衛費2.5%へ引き上げを表明 トランプ氏との会談控え
ロンドン(CNN) 米ワシントンで行われるトランプ大統領との会談を翌日に控え、英国のスターマー首相は25日、2027年までに防衛費を国内総生産(GDP)比2.5%に引き上げると発表した。その翌年には2.6%に増額するとしている。現在の比率は2.3%。ウクライナ戦争の今後をめぐりトランプ氏と欧州の間には亀裂が生じている。
同氏は議会でこの計画を説明するにあたり、「この政権は冷戦終結以降最大となる持続的な防衛費増額を開始する」と述べ、「我々は同盟国の間で誤った選択がなされることを拒否しなければならない。大西洋を隔てた一方ともう一方だ。それは我々の歴史、国、政党に反する」と語った。同氏は米英関係を自国の「最も重要な二国間同盟」とし、「今週トランプ大統領と会うとき、私はこの関係をますます強固なものにしたいと明確に伝えるつもりだ」と述べた。
スターマー氏は、財政状況次第では、次回総選挙後の29年に始まる議会で国防費を3%に引き上げる考えも打ち出した。
トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、国防費をGDP比5%に引き上げるよう求め、米国は将来的に欧州の安全保障維持に努めないとする意向を明確にしている。
スターマー氏は25日に開いた記者会見で、ロシアが22年に開始したウクライナ侵攻に触れ、国防費の増額は「3年かけて計画したもの」だと語り、「トランプ大統領は私たちがもっとやるべきだと考えており、私も同意見だ」と述べた。
防衛費の増額は、国際開発費の削減によって一部が賄われる予定。国際開発費は今後数年間でGDP比0.5%から0.3%に減少するという。
削減の影響を受ける慈善団体は、今回の決定に衝撃を受けている。
きれいな水と給水システムを提供している慈善団体ウォーターエイドは、この動きを「世界中の貧困に苦しむ人々に対する残酷な裏切り」と断じた。