タイで横行する犬の密輸、年20万匹が食用としてベトナムへ
「ゴールデンレトリバーや長毛のテリアなど、あらゆる種類がいる。業者に直接持ち込まれるケースもあるが、路上や寺院、さらには民家の庭からさらわれることもある。飼い犬は人懐こく、捕まえやすいから狙われる」と説明する。
食用の犬の需要は近年特に高まっている。「体を温める」作用があるとされるため、冬場はなおさらだ。
タイ国内では1匹10ドル(約1000円)、ベトナムのレストラン向けには約60ドルで売れる。ベトナムの消費量は年間100万匹を超えるとみられ、密輸業者は大繁盛だ。血統の良い犬は中国でも高い値がつく。
タイ当局が取り締まりに乗り出し、動物の不法取引を禁じた法律などで業者を裁いているが、業者側は「法的根拠があいまいだ」と抵抗する。同国には動物愛護法がないため、ソイドッグ財団などが法案成立を目指して動き始めた。
だが現状では、密輸業者の刑は禁錮数カ月にとどまり、救出された犬も結局路上に戻って再び捕らえらるという繰り返しだ。
ダリー氏は「犬を食べることがいいか悪いかという問題ではない。犯罪組織による大規模な不法取引が問題なのだ。犬は残酷な方法で運ばれ、殺され続けている」と強調した。