マスク氏、Xを自身のAI企業に売却 xAIの専門知識とXの訴求力融合
(CNN) 米実業家イーロン・マスク氏は28日夜、自らが保有するX(旧ツイッター)を自身のAI企業「xAI」に売却したと発表した。売却額は450億ドル(約6兆7000億円)で、マスク氏が2022年にXを買収した際の金額をやや上回る。ただ、今回の取引には120億ドルの負債が含まれている。
マスク氏はXのアカウントに、今回の取引はXの企業価値を330億ドルと評価するものだと書き込んだ。
マスク氏はXへの投稿で、「xAIとXの未来は密接に結びついている」と説明。「きょう、我々はデータやモデル、コンピューティング、流通、人材を組み合わせる一歩を正式に踏み出した。xAIの高度な能力や専門知識とXの巨大な訴求力を融合させることで、計り知れない可能性を解き放つだろう」としている。
マスク氏はXに直ちに変更が出るか明らかにしなかったものの、xAIのチャットボット「Grok」はすでにXに統合されている。一体化したプラットフォームは「より賢明で有意義な体験を提供する」とも述べた。
マスク氏は22年のツイッター買収後にさまざまな変更を加え、一部の大手広告主が離反する事態になった。従業員の8割を解雇し、プラットフォームの認証制度を見直したほか、凍結されていた白人至上主義者のアカウントを買収後数カ月以内に復活させた。
米投資会社フィデリティは昨年10月、Xの価値が買収時から8割近く減少していると試算。12月までにやや持ち直したものの、それでも買収額の3割程度にとどまるという。フィデリティのファンド「ブルーチップ」はXの株式を保有している。
今回のニュースは、トランプ政権の政府効率化省(DOGE)へのマスク氏の関与が注目を集め、マスク氏が自身の企業に十分な注意を払っているか疑問視される中で伝えられた。XとxAIを統合することで、マスク氏は事業を効率化できる可能性がある。
今回の買収がAIを巡るマスク氏の野心にどのように寄与するかは不明だが、Xとの結びつきが強まれば、xAIは最先端のAIモデルや機能をより早く、幅広いユーザーに提供できるようになる可能性がある。