ブラジルGDP1.9%減、後退局面入り 対中輸出や汚職で打撃
ニューヨーク(CNNMoney) ブラジル政府が28日に発表した2015年4~6月期の国内総生産(GDP)は前期比1.9%減で2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退局面に入った。前年同期比では2.6%減で、ここ数年で最悪の数字となった。
通貨レアルは急落、失業率も上昇しているほか、株式市場は1年前から20%下落した。ルセフ大統領の支持率は8%と、大統領弾劾(だんがい)のあった1992年以来最低の水準に落ち込んでいる。
背景には、中国経済の減速により過去10年の成長をけん引してきた対中輸出が減少していることがある。また、国営石油会社ペトロブラスをめぐる政財界を巻き込んだ大規模な汚職スキャンダルや、石油や砂糖などブラジルにとって重要な商品の価格が軒並み暴落していることも要因だ。
同国の景気後退入りは、ルセフ大統領の弾劾を求めて大規模な抗議集会が続発する中で発生。ペトロブラスをめぐる今回の汚職は規模が大きく、同社関係者は今年前半に、賄賂絡みで20億ドルの損失を計上したと明らかにした。
7月には国営電力公社エレクトロブラスの幹部が、ペトロブラスの資金洗浄に関与した疑いで逮捕され、スキャンダルが深刻化。捜査が進むにつれ、汚職疑惑とつながりがのある他の機関の職員が相次いで見つかっている。
汚職スキャンダルにより、ビジネスへの信頼は低下。英調査会社キャピタルエコノミクスによると、第2四半期のブラジルへの投資は前年同期比で12%近く減少した。
またレアルは今年、対ドルで25%下落したほか、輸入も前年比で12%減少した。ブラジルの企業は米ドル建てで資金の借り入れを行っており、レアルの下落で返済債務額が増大している。