妊婦に「月額425円」の手当、経済危機のベネズエラ
ニューヨーク(CNNMoney) 深刻な経済危機や政情混乱に見舞われる南米ベネズエラのマドゥロ大統領は18日までに、妊娠中の女性に月額70万ボリバル、出産した場合、100万ボリバルの特別支援金を供与すると発表した。
年恒例の全国向け演説で表明した。ただ、経済失政などが原因の超インフレが続く現状の中で支援額は生活難の緩和に役立たずとの見方が強い。住民が頼る非公式の為替相場で70万ボリバルは現在3.83米ドル(約425円)、100万ボリバルは5.48ドル相当。
マドゥロ氏は支援金供与の理由には触れなかった。妊娠中の女性約15万1000人がこの恩恵を受けると推測した。ただ、支援金受け取りにはマドゥロ政権が打ち出した新たな身分証明書の取得が前提。
政府批判派の国民の多くはこの証明書を保持していない。証明書を持たない妊娠中の女性が支援金を得られるのかは不明。新たな身分証明書はマドゥロ政権への支持を迫る措置とも受け止められている。
経済危機は失政の他、一貫性のない政策や広範な汚職が原因。国民は医薬品や食糧、日常用品に事欠く窮乏生活を強いられている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の経済学教授によると、ベネズエラでのインフレ率は昨年、4000%増を超えた。この中でマドゥロ大統領は近年、国民の歓心を買う施策を打ち出し、最低賃金を複数回上げ、昨年11月には400万世帯に50万ボリバル相当の「クリスマス引換券」を支給した。
物価統制も試み、今月初旬には大半の商品価格を独自に決めている民間経営のスーパーに対し食料品価格の値下げも指示し、混乱も招いていた。