テスラが抱える問題、深刻な可能性
同社の株式を買う人々が、同社の市場価値をフォードやGMといった大手メーカーに近い数値へと押し上げている。1000ドルの預託金を支払って新車を予約する顧客は、同社に10億ドル近い資金を提供した。同社が必要とすれば、社債発行でさらなる資金調達も可能だ。
前述のクラーク氏は、テスラがすぐに資金繰りに困ることはないと言及。ただ、モデル3の生産力増強が進まなければ状況が悪化し、再び金融市場に戻ってくる必要が出てくるとの見方を示す。その際には資金調達のコストも上がるとも予想される。
部品のサプライヤー(供給業者)との間でも問題が生じる可能性がある。テスラは昨年末に24億ドルの支払い債務を負っている。長期的な関係の中では大きな金額ではないものの、米ヘッジファンド、ビラス・キャピタル・マネジメントのジョン・トンプソンCEOは、格下げによりサプライヤーが納入時の支払いを要求する可能性を指摘する。
トンプソン氏は米トイザらスの倒産はサプライヤーが同社との関係を切ったからだと指摘。「経験則から、株主、債権者、顧客が利他的であっても、サプライヤーは冷徹でしっかり計算をする」との見解を示す。
同氏は今週、自身の顧客に向けたメールで、テスラが資金繰りに窮し今年後半には倒産へと進む可能性もあるとの予測を示した。同氏のファンドはテスラの株価が急落すると見て、最大級のショートポジション(空売り)を保持している。
格下げやトンプソン氏のコメントについて、テスラ社広報からのコメントは得られていない。