EU、米国をWTO提訴 鉄鋼・アルミ関税で
ロンドン(CNNMoney) 欧州連合(EU)は1日、米国が発動した鉄鋼・アルミニウム関税をめぐり世界貿易機関(WTO)に提訴した。EUによる米国への対抗措置は初めてで、続けて関税賦課などの措置も講じていく方針。
EUは20日にも、オレンジジュースなどの米国製品およそ200品目に25%の関税をかける計画。米国産のデニムやバーボン、バイク、ピーナツバター、モーターボート、タバコも対象となる。
EU当局者によると、報復関税の対象となる米国の輸出品は年間約28億ユーロ(約3580億円)相当に上るという。
米国は1日、EUやカナダ、メキシコの鉄鋼・アルミ製品に対し関税を発動。トランプ政権は国家安全保障を理由にこの動きを正当化していた。
EUの通商政策を担当するマルムストローム欧州委員は米国の動きを「純然たる保護主義」と評し、WTOの貿易ルール違反だとしている。
2段階目の関税措置では、米国の輸出品およそ37億ユーロ相当が対象となる可能性がある。対象製品には日光浴用のベッドや紙タオル、コーデュロイのズボン、磁器などの約160品目が含まれており、関税率は10~50%になるとみられる。
こうした製品は、WTOが米国による鉄鋼・アルミ関税をルール違反と判断した場合に関税の対象となる。WTOが3年以内に判断を示さなかった場合、EUが一方的に関税を発動する可能性もある。
米国の鉄鋼・アルミ関税に対しては、カナダとメキシコも対抗措置を取ると表明している。メキシコ政府は豚肉や果物、チーズなどの米国製品に同額規模の措置を講じる計画。カナダのフリーランド外相は、鉄やアルミを含む160億カナダドル相当の米国製品に関税を課すとしている。これは米国への鉄鋼とアルミの輸出額に相当する。