先進国の中間所得層が縮小、格差や生活費が圧迫 OECD報告書
ニューヨーク(CNN Business) 世界の先進国で中間所得層が縮小しつつある実態が、経済協力開発機構(OECD)がこのほどまとめた報告書で明らかになった。
報告書では、中間所得世帯が直面するさまざまな問題を指摘し、このままでは国の経済成長や社会機構に深刻な影響をもたらしかねないと警鐘を鳴らしている。
先進国の世帯に占める中間所得層の割合は、1980年代半ばの64%から、2010年代半ばには61%に縮小した。中でも米国、イスラエル、ドイツ、カナダ、フィンランド、スウェーデンでは特に縮小率が大きかった。
米国の中間所得層は約50%で、他の先進国に比べて大幅に少ない。
報告書では、世帯所得が国民所得の中央値の75~200%の世帯を中間所得層と定義した。
中間所得層の縮小は、所得格差の拡大が一因となっている。また、富裕国では生活費などがインフレを上回るペースで値上がりし、中間層の生計を圧迫している。特に住宅費は、中間所得世帯の過去20年の所得の3倍を上回るペースで値上がりした。中間所得世帯の家計に占める住居費の割合は、1985年の25%から32%に増えている。
中間所得層は5世帯中1世帯あまりで、支出が収入を上回った。
20代で中間所得層に分類される割合は、ベビーブーマー世代が70%近かったのに対し、ジェネレーションX世代は約64%、ミレニアル世代では60%に縮小。ベビーブーマー世代はまた、生涯を通じて今の若い世代よりも安定した仕事に就いていた。